歯科医院で、ご自身の歯周病の状態を指摘されたことはないでしょうか？
歯周ポケットが深い、歯肉に炎症があるなど歯周病と診断された場合は、歯周病の治療が必要となります。今回は、歯周病の基本的な治療の１つである、スケーリング・ルートプレーニング（SRP）について、ご説明します。

【歯周病とは】

歯周病の原因菌の感染によって引き起こされる炎症性疾患で、歯の周りの歯ぐき（歯肉）や、歯を支える骨などが溶けてしまう病気です。歯周病は『沈黙の病気』と呼ばれ、自覚症状がないまま、静かに進行します。
歯と歯肉の境目（歯肉溝）の清掃が行き届かないでいると、そこに多くの細菌が停滞し歯肉の辺縁が炎症を起こして赤くなったり、腫れたりしますが、初期には痛みがほとんどありません。
さらに進行すると、膿がでたり、痛みや歯の揺れなどの自覚症状がでてきます。この時点では、かなり進行してしまっており、最悪の場合、歯を抜かなければならなくなる可能性もある怖い病気です。
歯周病に罹患している場合は、歯茎の中の歯根表面に歯石や細菌が存在しているため、歯の表面のみをクリーニングしていても細菌や歯石は取り除けていないため、歯周病の改善には効果はあまりありません。

【スケーリング・ルートプレーニングとは】

スケーリングとは、歯に付着した歯垢や歯石などをスケーラーなどの様々な器具を用いて機械的に除去する処置です。
ルートプレーニングとは、歯根の細菌やその代謝産物を含んでいる病的な歯質（主にセメント質）を様々なスケーラーとよばれる器具を用いて物理的に除去し、生物学的に為害性のない滑沢な歯根の表面を作ることで、歯肉と歯根面との付着を促す治療です。歯根に対して行うため、歯周ポケットが深い場合は麻酔をして行うことが一般的です。
歯周ポケットが深いような場合では麻酔して行うのが一般的です。

【スケーリング・ルートプレーニングの難しさ】

歯の表面だけの歯石や細菌を除去するのはさほど難しくありません。
しかし、歯肉の中の歯根に付着した歯石や細菌を除去することは非常に難しい処置です。
スケーリング・ルートプレーニングの治療結果には以下のような要因が影響を与えるといわれています。

①術者の経験 ②歯周ポケットの深さ ③歯根の解剖学的形態 ④使用する器具

スケーリング・ルートプレーニングは歯周ポケットが深くなるにつれて治療操作が複雑になり、また解剖学的な形態が複雑であればより難しくなります。そのため様々な器具を用い、適切な技術および時間と労力が必要となります。つまり患者さんの歯周病の進行程度や術者（歯科医師や歯科衛生士）の技術によっても治療結果が変わってきます。

【まとめ】

歯周病は、歯科医院での適切な検査を行うことでその進行度がわかります。しかし、歯周病は軽度から中等度では自覚症状があまりありません。そのため、放置されるたり、適切な治療が行われないことが多く、自覚症状が出たときにはかなり重症化していることが多い怖い病気です。そのため、初期段階での適切な歯周病治療や予防が非常に重要です。また進行している場合は専門的な治療が必要となります。当院には歯周病認定医師が在籍しております。ご自身が歯周病ではないか心配な方、歯周病と診断されたなど不安がある方は、お気軽に当院にご相談ください。